きものは、反物を直線縫いで仕立てるため、平面的でありながら、衣服として身にまとうことで立体的な美が生まれる特徴的な日本の衣装です。この平面と立体を行き来するところに、はじめから立体裁断で制作していく洋服とは大きく異なるおもしろさがあります。
明治時代以降の京都では日本画家とのつながりから新たな染織図案が生み出され、斬新なデザインが次々と出現しました。こうした制作現場では、当時も現在も、平面に描いた下絵から染色図案になる過程で、着用して立体となることを想定した応用や調整の手が加えられてきました。ここに「きもののヒミツ」がひそんでいるのです。
本展は近世から近代のきものの優品や、雛形本などの資料、円山応挙から始まる京都画壇の展開と染織図案との関わり、図案が染織作品になる過程なども紹介。これまでにない視点から「きもののヒミツ」に迫ります。
≪白綸子地立木薔薇文様小袖≫
江戸時代後期(19世紀初期)
≪納戸麻地春秋景に御所車殿舎文様帷子≫ 江戸時代後期(19世紀初期)
*静岡市美術館展示
西川祐信『正徳ひな形』 1713年
左:岸竹堂≪大津唐崎図≫ 1875年
右:幸野楳嶺下絵≪御簾に大菊文様友禅染裂≫ 1890年
左:≪第一回懸賞募集図案 夏模様≫ 1898年
右:≪店員第四回図案懸賞 春模様≫ 1898年
左・中央:神坂雪佳≪草花図≫
明治時代末期-大正時代初期(20世紀初頭)
右:神坂雪佳下絵≪光琳百花文様友禅染裂≫ 1935年
三代田畑喜八≪一越縮緬地鳳凰桐文振袖≫
1954年(京都国立近代美術館蔵)
森口華弘≪友禅訪問着「彩華」≫ 1985年(京都国立近代美術館蔵)
※各章の正式タイトルは未定です。
※表記がない作品は株式会社千總ホールディングスの所蔵品です。
※展示作品はやむを得ず変更する場合があります。
展覧会名 | きもののヒミツ 友禅のうまれるところ Secrets of the KIMONO The Advent of Yuzen Dyeing |
会 期 | 2025年7月19日(土)~9月15日(月・祝) *月曜休館、ただし祝日は開館し翌日休館 |
会 場 | 京都国立近代美術館(京都市左京区岡崎円勝寺町) The National Museum of Modern Art, Kyoto |
主 催 | 京都国立近代美術館、読売新聞社 |
特別協力 | 株式会社千總ホールディングス、一般社団法人千總文化研究所 |
調整中 ※2025年春頃、チケット販売開始を予定しています。
*本展は2025年10月25日(土)~12月21日(日)に静岡市美術館に巡回します。