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C型肝炎 その最新治療を学ぶ

主催/社団法人日本肝臓学会・財団法人ウイルス肝炎研究財団・読売新聞大阪本社
協賛/シェリング・プラウ株式会社

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東京・講演1 肝炎の病態と診断


東京女子医科大学
消化器病センター内科准教授

橋本 悦子
先生
血液検査、画像診断などの組み合わせで診断
ウイルス駆除で肝硬変、肝がんへの進行抑止を

 肝臓は約1200グラムもあり、体の中で一番大きな臓器です。体に必要なたんぱく質などを作ったり、不要なものを解毒して便に出す、体の中の工場であり焼却施設です。
 C型肝炎とは、C型肝炎ウイルスに感染して肝臓が慢性の炎症を起こしている状態です。91年以前に輸血を受けた人、60年代以前の注射針を使いまわしていたころの予防接種を受けた人、90年代までの鍼治療やピアスの穴あけなどで、C型肝炎ウイルス感染の可能性があります。母子感染、性交渉による感染はまれです。いっしょにお鍋をつついても感染しません。
 C型肝炎ウイルスに感染すると、急性肝炎を経て慢性化します。慢性肝炎になると肝硬変、肝がんに進みます。この経過に30年以上かかるのが普通です。年間3万5千人の肝がん死亡者の8割は、C型肝炎が原因です。つまり、「先が怖い」ということです。ウイルスを駆除して肝硬変、肝がんに進行させないことが治療の目標です。
 まず、血液検査でウイルス抗体から感染しているか、あるいは感染したことがあるかを診断します。C型肝炎ウイルスに感染していれば、ウイルスの量と型をチェックします。遺伝子型によって、治療の効果が変わってきます。日本人は治りにくい1型(1b)タイプが70%を占め、治りやすい2型(2a)タイプが20%です。また、ALT(GPT)、AST(GOT)で肝臓の活動性を見たり、血小板の数で線維化の程度を見ます。画像診断、内視鏡で直接肝臓を観察する腹腔鏡検査、肝に針を刺して組織のごく一部を採取し、観察する肝生検などと合わせて診断します。

(はしもと・えつこ) 77年東京女子医科大学卒。同大学消化器病センター内科助手、米・メイヨー・クリニック留学を経て2005年から現職。日本肝臓学会指導医・評議員、日本消化器病学会指導医・評議員など歴任。


東京・講演2 C型肝炎 治療の選択


国家公務員共済組合連合会
虎の門病院肝臓センター肝臓科医長

荒瀬 康司
先生
タイプに応じて治療法を選択
肝機能が正常値でも要注意

 当院のデータでは、急性肝炎になると、76・7%が慢性肝炎に移行し、その後、年率2・1%で肝硬変に進みます。そして肝硬変は年率5・2%で肝がんに至ります。C型肝炎患者の死因を、65歳時の肝病変との関連で見ると、慢性肝炎が軽度(F1)なら、肝臓病関連死は2割ですが、中等度(F2)になると約半分、前肝硬変および肝硬変では約8割が肝がんや肝不全等で亡くなっています。
  C型慢性肝疾患治療の目的は、肝疾患による死亡、特に肝がんを防ぐことです。そのために、まずウイルスの排除を目指す治療を行い、それが行えない場合や、ウイルスが排除できなかったときには肝臓の炎症を抑える治療を行います。
  C型肝炎ウイルスを排除する治療の中心は、ペグインターフェロン/リバビリン併用療法です。最近の治療指針では、最も治りにくい1型高ウイルス量タイプの場合はペグインターフェロン/リバビリン併用療法を48週間行い、比較的治りやすい2型高ウイルス量では併用療法を24週間行うこととされています。最も治りやすい2型低ウイルス量ではインターフェロンの単独療法が行われます。併用療法は肝臓の状態、年齢、血液の状態(貧血、白血球・血小板減少など)、体重などを参考に行えるかどうかを検討します。また最近、ALT(GPT)が正常範囲にある人でも、徐々に肝炎が進んでいくことが分かってきました。とくに血小板数が15万未満の方では肝炎が進行している可能性があり、治療が難しくなる年齢になる前に早めに治療を受けることが勧められます。

(あらせ・やすじ) 76年東京大学工学部修士卒。83年日本大学医学部卒。虎の門病院消化器科医長を経て、2005年から現職。日本肝臓学会指導医・評議員、日本消化器病学会指導医・評議員など歴任。


東京・講演3 最新のC型肝炎治療について


武蔵野赤十字病院消化器科部長
泉 並木
先生
世界標準の併用療法で飛躍的に進歩
ウイルス陰性化の時期が治療に影響

 2004年に承認されたペグインターフェロン/リバビリン併用療法で、C型肝炎の治療は飛躍的に進歩しました。ペグインターフェロンは体内の濃度が長く続くように改良されたインターフェロンで、従来のインターフェロンでは週3回の注射が必要であったのに対し、週1回の注射ですむようにした薬です。ウイルスを殺す作用が強く、副作用も従来のインターフェロンより少ない特徴があります。
  そして、最も治りにくい1型でウイルス量が多い患者さんの場合、92年から行われたインターフェロン単独療法では、わずか3〜5%の方しかウイルスを排除できなかったのに対して、ペグインターフェロン/リバビリン併用療法では50〜60%の方が治癒できるようになりました。比較的治りやすい1型でウイルス量が少ない方、2型の方では、およそ90%で治癒が期待できるのです(図)。
  最近、ウイルスが初めて陰性化する時期が、治療効果に影響することがわかってきました。4週目までに陰性化すれば80%以上の方が治癒しますが、13〜24週で陰性化した人では、最終的な治癒率はおよそ30〜40%にとどまります。こうした方にさらに24週、合計72週まで投与を続けると、治癒率が20〜30%高くなることが分かってきました。
  また、ALT(GPT)が正常な方に併用療法を行ったときにも、ALTが高い方と同じくらいの効果があることも分かってきました。
  このようにペグインターフェロン/リバビリン併用療法はとても優れた治療法です。副作用に対処し、場合によっては薬を減量しながら、最後まで続けることができれば、治るチャンスも高くなります。

(いずみ・なみき) 78年東京医科歯科大学医学部卒。武蔵野赤十字病院内科部長を経て97年から現職。近畿大学医学部客員教授、東京医科歯科大学医学部臨床教授など兼任。日本肝臓学会指導医・評議員など歴任。


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